連載コラム「税の交差点」第10回:ふるさと納税は抜本的な見直しを

森信茂樹
東京財団上席研究員/税・社会保障調査会座長

「ふるさと納税」について、その豪華な返礼品が、本来の趣旨とは異なるということで、総務省が返礼品の割合を3割以下に抑えるよう、自治体に指導した。

しかし、これは全く物事の本質からはずれた指導である。そもそも「ふるさと納税」の本来の趣旨は何か、という根本にさかのぼった対応をすべきではなかったか。

では、「ふるさと納税」の本来の趣旨は何なのか。これは、「自分が生まれ教育を受けたが、その後は都会に出て働いているので、ふるさとの自治体には納税ができない。そこでお世話になったふるさとに、自分の意思で寄付ができる制度を作りたい」というものである。

背景にあるのは、都会と地方自治体間の大幅な税収の格差を、自分の力で少しでも是正したいという考え方だ。

国と地方の財政を調整する制度としては、国庫支出金(補助金)と、国税収入の一定割合を財政基盤の弱い自治体に振り向ける地方交付税交付金(地方交付税)の2つがある。

前者は、事業にひもの付いた補助金なので、地方は使いづらいという問題がある。後者は、自治体の自立努力をそこなうものという問題や、交付税不交付団体である東京都から地方自治体へ税収を移転させることはできないという問題がある。

では、国から地方に税源を移譲すればよいではないか、という意見があるが、現行税制のままで税源を移譲すると、都市・地方の税収格差はますます拡大してしまう。

地方官の税収格差を根本から是正するには、スウェーデンが導入している、地方自治体間で直接の税収のやり取りを行う「水平的調整」が効率的・効果的である。

しかし、地方税の哲学は、自治体から受けるサービスの対価として納税する、という応益税の考え方に基づいているといわれており、ある自治体が苦労して集めた税収を、他の自治体に、「税収格差を埋めるため移譲する」ということはできない、ということになる。

そこで、自分の意思で「ふるさと」に「寄付」するのなら問題はないのではないか、ということで考え出されたのが「ふるさと納税」である。

しかし、現行制度には大きな問題がある。

それは、寄付をした金額の2000円を超える部分は、所得税と住民税の減税として帰ってくるので、自己負担の上限は2000円という制度になっていることである。

加えて、寄付額の5割程度の「返礼品」が自治体から送られてくる。自腹を切るどころか、寄付者が利益を得るのである。しかもその恩恵(減税額)は、高所得者ほど大きい、という問題がある。

また、寄付をした住民の住む自治体の税収は減っても、交付税交付団体である場合(2015年度では東京都と59市町村を除く1659自治体)には、減収部分の4分の3が国から地方交付税という形で補てんされている。つまり国の持ち出しとなっているのである。

ではどのように改めるべきであろうか。

ふるさと納税は、「身銭を切って寄付をする」人に、国・地方がインセンティブとして減税をする税制である。

具体的に、国・地方公共団体、認定NPO法人などへ寄付した場合の税制について説明してみよう。

これらに寄付する場合には、寄付額から2000円を差し引いた残りの金額について、所得控除か税額控除(国・地方合計で50%)かを選択できる仕組みとなっている。

つまり、10万円寄付すると、国・自治体から4万円9千円(10万から2000円を引いて、税額控除率50%をかける)が税額控除という形で戻って来る。ざっくり言えば、5万円寄付すると国・地方も5万円をマッチングしてくれる税制である。

ふるさと納税は、もともとこの制度の上に作られたのであるが、その後特例制度によりかさ上げされ、現行のような、「寄付」とは似ても似つかない制度になったのである。

早急に、現行の寄付税制と同じレベルに戻し、「寄付=自腹を切る」部分を残すようにすべきであろう。そうなれば、寄付額の30%程度の返礼品が返ってきてもおかしくはない。

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